　今日は、基本的にハンマー狙いになる。２０年前に来たときもそうだったのだが、残念ながら遭遇できなかった。個人的には、今回は海底遺跡が一番の目標だったし、ハンマーのハイシーズン（１～２月）はすでに過ぎているので、あまり期待していないのだが・・・。ただ、つい先日にも大群が観察できたとか。

　ハンマーへの期待は別の問題として、潜りたいという気持ちとは裏腹に、体力的な限界を感じていた。何しろ、与那国入りする前からすでに疲労困憊なのだから、どうしようもない。昨日も、１本潜っては昼寝をするといった有様なのだ。
　今回お世話になった与那国ダイビングサービスでは、基本的に、８時４５分、１１時４５分、１４時４５分の３回が出港時間に設定されている。その１５分前が集合時間だ。ほとんどのダイビングポイントが港から１５分以内の距離にあるので、２時間近く陸上での休息時間が得られる。ダイビングから戻った後の器材洗いや入浴、着替えの時間、それに次のダイビングのための準備の時間を考慮しても、丸１時間は部屋でゆっくりできるのだ。ゆえに私は、体力回復のため、昼寝に専念した。

　１本目は、オグロメジロザメが出没するも、ハンマーは見られず。２本目は、２００ｍもドリフト^*2してハンマーヘドロックまで移動したが、残念ながら姿をみせてくれなかった。ただ、１ｍ級のマグロやロウニンアジを確認することができた。これだけでも、那覇からのダイビングスポットではなかなか見られない光景だ。
　３本目もハンマー狙いで西崎（イリザキ）に入る予定だったが、気温が２５℃近くに達して最高にさわやかな陽気だったので、体力的な無理を押して潜るよりも、初夏のゆっくりとした時間をのんびり過ごす誘惑の方が勝って、私ひとりリタイアすることにした。
　全開にした窓から時折吹くそよ風が気持ちよく、コーヒーカップ片手にソファーに寝そべって、時間に追われることなく過ごす時間は贅沢そのものだった。

写真上段左：４月５日の日の出。
　よく見ると、水平線からの日の出ではなく、雲からの日の出になっていることが分かるはず。寝坊した人がいて出発が遅れたが、結果オーライとなった。

写真上段右：西崎（イリザキ）にて
　約２０年ぶりに同じ場所で写真を撮った。昔は若かったのだが・・・。

写真下段左：Ｄｒ．コトーの診療所にて
　原作では、古志木島という架空の地名になっている。天気予報どおり、急速に天気が悪化して、この１時間後には本格的な雨になった。日の出の写真と同じ日とは思えない。

写真下段右：与那国馬と与那国牛
　２枚の写真の縮尺は合わせていないが、概ね同じくらいの大きさと考えてよい。両者とも、探すのにそれほど苦労しない。

　ダイバーは、潜水病の予防のため、飛行機に搭乗する日にはダイビングができない。したがって、今日はダイビングはなしで、出発までの時間観光をすることになっていた。驚いたことに、ダイビングショップがワゴン車を無償で貸してくれた。土地柄なのか、それともリベルテさんに対する営業目的なのか。

　日の出を見ようという計画で、６時集合になっていた。こちらでは、６時はほぼ完全に暗い。東経１２３度（日本標準時の明石は１３５度）だけあって、東京と１時間くらい時差があるように感じた。ちょっとしたハプニングがあって出発が遅れたが、無事日の出を見ることができた。いつ見ても日の出は気持ちがよい。
　与那国の産業は、漁業と酪農だ。人が暮らす集落は主に二つで、島の東と西に集中している。その集落を除いて、島中で牛が放牧されている。また、与那国の固有種である与那国馬も同様だ。普通の馬よりもふた周りくらい小さく、毛が長い。
　他の沖縄県の島同様、やはり泡盛が名産だ。荷物が重くなるのは辛かったが、お土産に買って帰った。

　観光で特筆すべきは、Ｄｒ．コトーの診療所だろう。私はそのドラマを見ていないのだが、吉岡秀隆が主演してたことぐらいは知っている。コトーこと五島先生は、鹿児島県のとある島の診療所の医師がモデルになっているそうだが、ドラマの撮影はここ与那国で行われたのだ。今でも撮影に使われた診療所は残っていて、入場料をとって見学させている。朝食後、空港へ向かう途中に見に行った。

　往路と同様石垣で飛行機を乗り換え、那覇に着いたときにはなぜか「帰ってきた」という感じがした。東京へはまだ遥か彼方なのだが、与那国はそれほどまでに那覇から遠いところにある。
　東京への夕刻便がとれると一番効率的だったが、残念ながら最終便しか予約できなかった。そのため、那覇で７時間も時間をつぶさなければならなかった。
　石垣からの連絡便の遅れが原因で、那覇での出発がかなり遅れた。しかし、途中で挽回したのか、ほぼ定刻に羽田に到着。それでも、自宅に着いたのは翌日深夜１時。元々の計画どおりだし、明日一日仕事をがんばれば、明後日は週休だ。楽しんだ与那国のためには仕方がない。

写真上段左：ハンマーヘッドシャークの剥製
　これを目当てに多くのダイバーが与那国を訪れる。ガイドさんの話では、人に対しては臆病で、近寄ってくることはないという。

写真上段右：民宿での食事風景
　左から順に、ミッキー、私、ナワさん、ねえさん、ミーさん。特別に、与那国牛を試食させてもらった。

写真下段左：民宿の居室
　ダイビングが終わる度に、こんな風に横になって休んだ。

写真下段右：バラクーダの大群
　３本目、私がコーヒーを飲みながらくつろいでいる頃、仲間はこんなチャンスをゲットしていた。

　今回は、残念ながらハンマーヘッドシャークは逃した。しかし、それほどサメには興味はなかったし、一番の目的だった「海底遺跡」を実際に見ることができ、十分満足だった。
　体力が問題で苦労はしたが、決定的なスキル不足は感じなかったし、何よりも耳抜きが順調で、花粉症を感じさせなかった。それだけでも十分かもしれない。

　上級者限定のツアーだけあって、ゲストは皆すばらしく、初日、波が高い中でも整然とボートへエキジット^*5できる点からもレベルの高さを感じていた。また機会があったら参加したいと思う。

^*1-5のダイビング用語についてはこちら